千葉県千葉市中央区税理士・公認会計士。コラム
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個人住民税による住宅ローン控除制度                    

 

 国から地方への税源移譲のために、平成19年分からの所得税率と、平成19年度からの個人住民税が変更されたことで、多くの場合、所得税額が減少し、住民税額が増大する。
 たとえば、4人家族のサラリーマンの平成19年分の年収が800万円(額面)の場合、従前の税率で計算すると、所得税は26万7,000円で、住民税は18万9,100円であったが、変更後は、所得税が16万9,500円で、住民税は28万6,000円となる。
 ただ、税源移譲は地方分権の推進によるものであるため、納税者負担が増えないように、所得税と個人住民税の合計税額に変動はない税率変更になっている。上記の例をみてみると、合計の税額は45万6,100円と同額となる(26万7,000円+18万9,100円、16万9,500円+28万6,600円)。
 現在、住宅等を購入し、年末時点にローン残高があると、残高の一定割合が所得税額から税額控除できる、所得税の住宅ローン控除制度(措法41条)があるが、この制度適用者にも税源移譲による税負担増とならないように、個人住民税の住宅ローン控除制度が創設された(地方附則5条の4)。
 そもそも、所得税の住宅ローン控除制度は、控除割合や最大控除額は居住開始の年や居住年数によって決まるもので、居住開始の年が平成18年の場合には、居住年数6年目の平成22年まで控除割合はローン残高の1%で、最大控除額は30万円となっている。また、所得税によるこの制度は、翌年繰越適用できないため、控除限度額はその年の所得税額分までとなっている。
 このことから、住宅ローン控除額が税率変更前の所得税額であれば、すべて控除できたものの、税率変更後の所得税額が減ったために、控除しきれない額が発生する可能性が強くなる。
 個人住民税の住宅ローン控除制度は、税源移譲による税率変更によって控除しきれない額等が発生した場合に、その額を個人住民税からも控除できるもので平成20年度の個人住民税から控除が適用される。
 例えば、上記の4人家族が住宅を購入し、居住開始の年が平成18年で、平成19年末の住宅ローン残高が2,500万円の場合、住宅ローン控除額は25万円(=2,500万円×1%<30万円)となる。
 税率変更前の場合、所得税額が26万7,000円であり、住宅ローン控除額を控除した後の所得税の納税額は1万7,000円(26万7,000円−25万円)、個人住民税額との合計額は20万6,100円(=1万7,000円+18万9,100円)となる。一方、税率変更後の所得税額は16万9,500円で、住宅ローン控除額を控除した後の所得税の納税額は0円(>−85,000円=16万9,500円−25万円)となるが、個人住民税は28万6,000円のままであるため、合計納税額は税率変更前よりも住民税増額分の97,500円(=28万6,600円−18万9,100円)も増税となってしまう。
 ここで、個人住民税の住宅ローン控除制度を適用すると、所得税額で控除しきれなかった8万500円を個人住民税から控除できるため、個人住民税の納税額は20万6,100円(=28万6,600円−8万500円)となり、税率変更前と同額になる。
 ただ、特に注意すべきなのは、サラリーマンの場合、所得税の住宅ローン控除制度は適用2年目から確定申告を行わずに年末調整によって適用されるが、個人住民税の住宅ローン控除は自動的に行われないため、居住する市区町村への申告が必要であること、しかも住宅ローン残高や毎年の給与収入等が変動する等により、所得税で控除しきれない額が必ず発生するものではないことから、毎年申告を行う必要があることである。
     

           

 
                                 税務通信平成19年11月12日号より










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