平成15年度の主な税制改正

 

T 法人税

 1.研究開発減税

   @試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設

     試験研究費の総額の一定割合(8%〜10%。時限措置として2%上乗せして、10%〜12%)を税額控除(当期の法人税額の20%が限度)する制度が増加試験研究費との選択制で創設された。

   A産学官連携の共同開発・委託研究に係る特別税額控除制度の創設

     研究開発税制において、大学、公的研究機関等との共同試験研究等について、一律12%(時限措置として15%)の税額控除率が適用される。

   B中小企業技術基盤強化税制の拡充

     研究開発税制において、中小企業に対し、一律12%(時限措置として15%)の税額控除率が適用される。

 

    ここで、法人税額の特別控除の対象となる試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のための費用で一定のものをいう。

   

(注)上記3つの措置は、平成15年1月1日以後に開始する事業年度で、かつ、平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用される。

 

 2.設備投資減税

   @IT投資促進税制の創設

     情報通信機器等(IT関連設備)の取得等をした場合に、50%の特別償却又は10%の税額控除制度(当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度額については1年間の繰越しが認められる。)が創設された。

     資本金3億円以下の法人の場合、取得価額合計が、ハードで140万円以上、ソフトで70万円以上の特定の資産がその対象となる。

 

また、一定の情報通信機器等の資産をリース契約により新たに賃借した場合についても、リース費用の総額の60%について10%の税額控除が認められる。

対象となるリ−ス費用は、ハードで200万円以上、ソフトで100万円以上である。

 

   A開発研究用設備の特別償却制度の創設

     開発研究用設備の取得をした場合に、50%の特別償却制度が創設された。

     対象となる開発研究用設備は、取得価額が280万円以上のものである。

   (注)上記2つの措置は平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に取得等をして事業の用に供した場合について適用される。

3.中小企業・ベンチャー企業支援

   @中小企業技術基盤強化税制の拡充

     研究開発税制において、中小企業に対し、一律12%(時限措置として15%)の税額控除率が適用される。

   A同族会社の留保金課税制度の適用停止

     同族会社の留保金課税制度について、自己資本比率が50%以下の中小法人(資本金1億円以下)については、留保金課税を適用しない措置が講じられるとともに、課税留保金額に対する税額の5%軽減措置が廃止となった。

   

   (注)上記の措置は、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度について適用される。

 

B交際費等損金不算入制度の軽減

     交際費等の損金不算入制度の適用期限が平成18年3月31日まで3年間延長された。また、交際費等の損金不算入制度について、400万円の定額控除を認める対象法人の範囲を資本金1億円以下の中小法人(改正前資本金5,000万円の中小法人)に拡大するとともに、定額控除額までの金額の損金不算入割合(課税される部分)が10%(改正前20%)に引き下げられる。

 

(注)上記の措置は、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度について適用される。

 

   C即時償却の特例制度の創設

     中小企業について、30万円未満の少額減価償却資産を取得した事業年度に全額損金算入(即時償却)する特例制度が創設された。

 

(注)上記の措置は平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に取得等をして事業の用に供した場合について適用される。

 

   Dエンジェル税制

     エンジェル税制について、現行の優遇措置に加え、ベンチャー企業(特定中小会社)への投資額について、同一年分の株式譲渡益から控除する等の措置が講じられた。

 

 4.外形標準課税の創設

    現下の景気の状況等を勘案し、平成15年に、資本金1億円超の法人を対象として、外形標準の割合を4分の1とする外形標準課税制度が創設され、平成16年度から適用される。

 

U 相続税・贈与税

 1.相続時精算課税制度の創設

    20歳以上の子が65歳以上の親から受ける贈与について、贈与時に軽減された贈与税を納付し、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基にして計算した相続税からすでに支払った贈与税を控除する相続時精算課税制度が、現行の制度(暦年課税)との選択制で導入された (贈与時の特別控除は累積で、2,500万円を限度として複数年にわたって使用可能。特別控除を超える部分については税率20%で課税)。

 

    この制度の適用を受けようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年21日から315日までに税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行う。

 

2.相続税・贈与税の税率構造の見直し

   @相続税

     相続税について、最高税率が50%(改正前70%)に引き下げられるとともに、税率の刻み数を6段階(改正前9段階)に簡素化し、必要な税率区分の拡大が行われた。

   A贈与税

     贈与税(暦年課税)についても、相続税に準じて見直しされた。

   

(注)上記2つの改正は、平成15年1月1日以後の相続又は贈与から適用される。

 

 3.住宅取得金等に係る相続時精算課税制度の特例の創設

   @住宅取得等資金の親からの贈与

     住宅の取得又は増改築に充てる資金を贈与により取得した場合には、65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税制度を選択できる特例が創設された。

   A特別控除額の上乗せ

     住宅の取得又は増改築に充てる資金を贈与により取得した場合には、相続時精算課税制度に係る特別控除を3,500万円に拡大(1,000万円上乗せ)する特例が創設された。

 

(注)これらの特例は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与により取得する金銭について適用される。

 

 4.税額計算の特例の延長

    改正前の住宅資金等の贈与の特例(5分の5乗方式)は、平成17年12月31

   日までの間経過措置として存続します。

 

(注)この経過措置の適用を受けた場合には、その適用年分以後5年間は、上記の相続時精算課税制度を選択できません。

 

 

V 金融・証券税制

 1.申告不要制度

    上場株式等の配当、公募株式投資信託の収益分配金、上場株式等の譲渡益につい

   て、15%(個人住民税含め20%)源泉徴収のみで納税が完了する仕組み(申告

   不要制度)が導入された。

 

 2.優遇税率

    「貯蓄から投資へ」の対応を一層明確化するため、上記1について、今後5年間

   7%(個人住民税含め10%)の優遇税率が適用される。

 

 3.損益通算

    公募株式投資信託の償還(解約)損と株式等譲渡益との通算が可能になった。

 

 

W 土地・住宅税制

1.登録免許税の軽減等

    不動産の登記に係る登録免許税について、税負担を軽減するとともに、土地と建

   物との間の実質的な税負担水準の格差を解消し、各種登記間の税率格差の是正が図られた。

 

 2.不動産取得税

    平成15年4月1から平成18年3月31日までの3年間に限り、標準税率を3%(改正前4%)とする特例措置を講ずる。また、宅地等の取得に係る課税標準を価格の2分の1とする特例措置は、3年間延長する。

 

 3.住宅ローン控除の適用

    住宅ローン控除の適用を受けていた者が、勤務先から転勤命令などやむを得ない事由により住宅を居住のように供しなくなった後、その事由が解消し、その住宅に再び居住した場合には、一定の要件の下、その再居住年以後住宅ローン控除の再適用を受けることができる措置が講じられた。

 

  (注)上記の改正は、平成1541日以降に居住の用に供しなくなった場合について適用する。

 

X 個人所得課税

 1.配偶者特別控除の廃止

    配偶者特別控除のうち、控除対象配偶者(合計所得金額が38万円以下の配偶者)について配偶者控除に上乗せして適用される部分(最高38万円)が平成16年分以後の所得税から廃止される。

   

    なお、妻の年収が70万円未満である場合には、配偶者特別控除の廃止による所得税及び住民税の負担増合計は、次のようになる(財務省試算)。

    夫の年収   夫婦子供なし   夫婦子供1  夫婦子供2

    300万円    45千円    44千円   21千円

    500万円    57千円    44千円   45千円

    700万円    87千円    58千円   59千円

    1000万円    94千円    94千円   94千円 

 

 

Y 消費税

 1.中小事業者に対する特例措置

   @事業者免税制度

     事業者免税制度の適用上限が、1,000万円(改正前3,000万円)に引き下げられた。

   A簡易課税制度

     簡易課税制度の適用上限が5,000万円(改正前2億円)に引き下げられた。

 

   (注)上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用される。したがって、個人事業者は平成17年分から、事業年度が1年である法人については平成173月決算分から適用される。

 2.申告納付制度等

    直前の課税期間の年税額が4,800万円(地方消費税込6,000万円)を越える事業者は、中間申告納付額を毎月(改正前3月ごと)行うことになった。

 

   (注)上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用される。

 

 3.取引対価の総額表示の義務付け

    消費税法において、事業者がその相手方である消費者に対して商品の販売、役務の提供等の取引を行うに際し、予めその取引価格を表示する場合には、消費税額(地方消費税含む)を含めた価格を表示することが義務付けられる。

 

(注)上記の改正は、平成16年4月1日から適用される

 

Z 酒税・たばこ税

 1.酒類間の税負担格差の縮小

    ビール・発泡酒(麦芽比率25%未満)、清酒・果実酒、清酒・合成清酒、リキュール類・甘味果実酒等の間の税負担格差を4分の1縮小することとし、発泡酒、果実酒、合成清酒、甘味果実酒等の税率が引き上げられる。

 

 2.ビールに係る酒税の税率の特例の創設

    小規模なビール製造業(いわゆる「地ビール」)について、創業支援のため、3年間の特例措置が創設された(酒税額20%軽減)。

 

 3.たばこ税

    平成15年7月1日よりたばこ税の税率が1本当たり0.82円(国・地方合計)引き上げられる。

 

\ その他

 1.NPO税制

    認定NPO法人についてみなし寄付金制度が導入された。また、認定NPO法人の認定要件が緩和された。

 

(1)   認定NPO法人の認定要件の緩和

@     いわゆるパブリックサポートテスト(総収入金額のうちに寄付金総額の占める割合が3分の1以上であること)に関し、次の措置を講ずる。

イ、 平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間、当該割合を5分の1以上(改正前3分の1以上)に緩和する。

ロ、 一者からの寄付金等について、寄付金総額に算入できない金額を寄付金総額の100分の5(改正前100分の2)を超える金額とする。

ハ、 一者からの寄付金等について、総収入金額及び寄付金総額に含めない寄付金額を1,000円未満(改正前3,000円未満)に引き下げる。

ニ、 国・地方公共団体及び我が国が加盟している国際機関からの委託事業費並びに我が国が加盟している国際機関からの補助金の額を総収入金額に含めないこととする。

A     特定非営利活動が複数の市区町村で行われていること等の活動等の範囲に関する要件を削除する。

B     海外への送金又は金銭の持ち出しを行う場合に、あらかじめ国税庁への届出が必要な範囲を200万円を超える場合とし、200万円以下の海外への送金等を行う場合については、事業年度終了後報告することとする。

 

(2)   みなし寄付金制度の導入

認定NPO法人がその収益事業に属する資産の内からその収益事業以外の事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄付金の額とみなすとともに、寄付金の損金算入限度額を所得の金額の100分の20とする。

 

 

 2.石油税及び電源開発促進税

    LPG及びLNGに係る石油税の税率を引き下げるとともに、新たに石炭に課税される。また、電源開発促進税の税率が引き下げられる。

 

 3.自動車関係諸税の特例

    揮発油税及び地方道路税並びに自動車重量税について、税率の特例措置の適用期限が5年延長される。このほか、自動車重量譲与税の譲与割合が3分の1(改正前4分の1)に引き上げられる(自動車重量譲与税法)。

 

 4.その他

    租税条約の規定に基づき条約相手国から情報要請があった場合、一定の場合を除き、当該情報提供のために税務当局が質問検査を行うことができることとする規定の整備が行われた。