賃上げ促進税制の適用判定で用いる“給与等”は所得税法上の「給与等」を指し、原則は給与所得として課税対象となるものが該当する。非課税対象となる通勤手当等は「給与等」に含まれないが、合理的な計算方法であれば、例外的に給与等の額に含めることもできる。
同税制の対象となる“給与等”は原則、俸給・給料・賃金・歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(所法28@)をいい、給与等支給額の計算上、非課税となる通勤手当等の額は給与等の額に含まれない。一方、“賃金台帳に記載された支給額(非課税分の額を含む)のみを対象とする”等、合理的な方法により継続して給与等支給額を計算している場合は、例外的に、その額を“給与等”の額とすることが認められる(措通42の12の5−1の4、No.3750)。
同通達の趣旨説明では、非課税となる経済的利益の額等を各費用勘定の中から抽出する手間が非常に煩雑になるおそれがあるところ、適用年度・前事業年度のいずれについても同様の方法により計算していれば課税上の弊害が生じない旨を記載している。そのため、非課税分を含めずに給与等を計算する等、合理的な方法により継続して給与等支給額を計算することを認めている(平成26年6月27日付課法2−6ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)の趣旨説明」)。
例えば、企業によっては、通勤手当について非課税限度額の超過分である課税部分も含めて旅費交通費勘定で処理し、給与等支給額の計算では、非課税部分だけを抜き出す作業が事務負担となることから、一律に通勤手当を給与等支給額に含めないこととするケースがあるようだ。この場合、継続して同様に給与等支給額を計算している実態があれば、同趣旨説明を踏まえ、合理的な方法による計算と認められるという。
税務通信令和7年4月14日号より
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