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■社会保険と106万円の壁の撤廃

 

    

 令和7年6月に成立した年金制度改革法により、令和8年10月から社会保険(厚生年金・健康保険)の加入要件のうち賃金要件が撤廃される予定だ (No3858等)。パート従業員など短時間労働者に係る 「106万円の壁」がなくなり、 実質的には“労働時間が週20時間以上かどうか”が社会保険の加入要否の分岐点となる。
 短時間労働者に係る社会保険の加入要件とは、�@賃金要件(所定内賃金が月8万8,000円以上)、�A企業規模要件(従業員数51人以上の事業所に勤務)や、�B労働時間要件(所定労働時間が週20時間以上)、�C勤務期間要件(2か月超使用される見込み)、�D非学生要件の5要件のこと。5要件全てを満たす場合に、 社会保険の加入対象となる。
 �@賃金要件を年収換算した場合、年収106万円以上となるため、賃金要件が「106万円の壁」と呼ばれている。年金制度改革法による賃金要件の撤廃時期は、同法公布から3年以内の政令で定める日とされた。同政令は令和8年8月26日現在で公布されていないが、 同年5月から6月で意見募集にかけられていた「厚生年金保険法施行令等の一部を改正する政令案」では、撤廃時期が令和8年10月1日と示された。
 賃金要件撤廃後の加入要件は、�A企業規模要件(令和9年10月から段階的に撤廃)、�B労働時間要件、�C勤務期間要件、�D非学生要件の4つとなるため、�A�C�Dを満たす者は、所定労働時間が週20時間以上かどうかで判定する。
 現行においても、全国で最低賃金が時給1,016円以上となったことにより、週20時間以上働く場合は賃金が月8万8,000円以上となり、�B労働時間要件を満たせば�@賃金要件を自動的に満たす。最低賃金以上で勤務する一般的な短時間労働者は、賃金要件撤廃によって新たに加入対象となるケースは限定的と考えられ、実務上は労働時間の確認が一層重要となろう。
 なお、所得税の年収の壁であった「103万円の壁」については、令和7年度税制改正により解消された (No3852等)。令和8年分の所得税においては、令和8年度税制改正により、基礎控除額と給与所得控除の最低保障額の合計額178万円まで非課税となる。
 

 
 


税務通信令和8年8月31日号より










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